
京都府宮津市にある海洋センターの研究者が、新たな発見をしました!トリガイやマガキの養殖でも知られる久美浜湾(京丹後市)において、水中環境の季節ごとの変化を分かりやすく説明した論文を執筆し、京都大学から博士号を取得したのです
この研究は、実際の水質データを観察し分析した結果、貧酸素水塊(すいかい)という海域内の酸素が少ない水の層の動きがどう影響しているのか、さらには餌の多い水深の変化も明らかにしました
この成果を基に、地元の漁業者と協力して、二枚貝が育つための適切な水深を調整することで、安定した養殖を目指しているのです
久美浜湾は、幅30メートル、深さ5メートルと、全国でも特に閉鎖性が高い湾とされています
ここでは、いかでも養殖が行われている二枚貝に原因不明の大量死や成育不良が起こっていました
研究を行ったのは、亀岡市出身の舩越裕紀さん(38歳)です
舩越さんは、2021年から2024年までの期間に、月に1回、湾内外の11か所で水温や塩分、溶存酸素濃度、さらに餌となる植物プランクトンの指標であるクロロフィル濃度を測定しました
京都大学時代の静岡県の浜名湖での観察経験を生かし、久美浜湾の環境を詳しく分析しているのです
研究の結果、一般的な閉鎖性のある海では、夏に貧酸素水塊が底にできることが多いことが分かりました
しかし、冬になると海水が混ざりやすくなるため、貧酸素塊は解消されます
ところが、雨や雪が多い久美浜湾では、塩分濃度が低い表層ができるため、冬でも水層が混ざらず、貧酸素水塊が残りやすいのです
さらに、湾外から流入する水が底層に入ることで、1月にはこの水塊が中層まで持ち上がり、養殖中の貝にダメージを与えることが分かりました
舩越さんは「この湾の水は層になっていて混ざりにくい
貧酸素水塊が浮上する時期に貝の水深を上げれば、死んでしまうのを防げる」と説明しています
種によっては、貧酸素水塊は植物プランクトンの成長に必要な栄養分を多く含み、夏には水塊の上部で貝の餌が豊富に発生することもあります
養殖業者たちも、舩越さんの知見を参考にしながら、貧酸素水塊を避けるように水深を調整しています
舟越さんは、「データに基づいて餌の多い水深にて貝を育てることができれば、二枚貝養殖の持続可能なモデルになると信じています
他の海域でもシーズンごとの変化を探し、問題解決策を見つけていきたい」と意気込んでいます
貧酸素水塊は、海の底に酸素が少ない水の層ができる現象で、二枚貝の養殖に影響を与えます。特に閉鎖性の湾では、水の入れ替わりが少なく、貧酸素水塊が残りやすいです。この現象が生じると、貝にとって大きな危機になりますが、養殖業者たちは舩越さんの研究から得た知見を基に、より良い水深を見つけ出し、貝の生育を助けようとしています。これにより、久美浜湾での養殖活動がより円滑に進むことが期待されています。
- 貧酸素水塊とは、海の底に酸素濃度が極端に低くなる水の層を指します。これが発生すると、魚や貝にとって非常に危険です。
- クロロフィル濃度とは、植物プランクトンの量を示す指標です。プランクトンは海洋の食物連鎖の基盤となり、養殖にとって非常に重要です。
- 養殖業者とは、魚や貝、その他の生物を特定の環境で飼育し、育てる仕事をする人たちのことです。彼らは持続可能な方法を追求しています。
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