
京都には、古くから続く伝統的な技術や文化がたくさんあります
その中でも、竹を使った「竹筬(おさ)」の技術は、新しい世代に受け継がれるべき大切なものです
竹筬は、織物を作るための非常に重要な部品で、糸を通すためのものです
しかし、今その技術が危機に直面しています
今回は、竹筬を守る活動をしている矢木満夫さんの物語をご紹介します
竹筬を守る矢木満夫さん
矢木満夫さんは、66歳の元中学校国語の教師です
退職後、竹筬の保存研究会に入り、今ではその会長を務めています
彼は「歴史ある技を簡単になくせない」との思いを持ち、竹筬の制作に取り組んでいます
竹筬の魅力とは?
竹筬は、弾力性があり、太さにムラがある手つむぎ糸を柔軟に受け止めることができる素晴らしい道具です
京都の西陣織や大島紬などでも今なお竹製の筬が使われていますが、近年、金属製のものが普及し、竹筬の需要は減少しています
特に筬羽作りができる職人が減ってしまったことが大きな問題です
後継者不足に対する挑戦
2002年には最後の業者が廃業しましたが、矢木さんは「伝統織物の存続に関わる切実な問題」として、その活動に身を投じています
彼は、竹筬作りの重要な技術を後世に伝えようとしています
竹筬制作の工程
筬羽を作るためには、約0・3ミリの竹を削り、糸が通る間隔を厳密に整える必要があります
月2回の研修に参加し、多くの練習を重ねることで、ようやく作れるようになった矢木さん
しかし、まだまだ修行が必要です
「道具作りは人の役に立てるのがやりがい」と話す彼は、商業製造の復活を目指しています
東京や京都での活動
矢木さんが会長を務める保存研究会には、若手を含む約15人が参加しています
展示会や研修を通じて仲間を増やし、竹筬の技術を広めたいと考えています
「先祖からの知恵がなくなるのはもったいない」と、彼は語ります
私たちも、こうした伝統技術を尊重し、次の世代に伝えていく責任があります
竹筬とは、織物を作る際に糸を通すための竹でできた道具です。昔から、竹は丈夫でしなやかな素材として知られており、特に日本の織物で高く評価されています。竹筬を使う利点は、金属製の筬とは違い、弾力があるため糸を柔軟に受け止められる点です。この柔軟性が、手つむぎ糸の特性を活かし、より美しい織物を完成させることに繋がります。しかし、職人が減少しているため、竹筬の技術を守ることは急務です。
- 伝統織物とは、地域の文化や技術を基にして作られる織物のことです。日本各地に伝わるそれぞれの技術が受け継がれ、地域ごとの特性を表現します。
- 国産竹とは、日本国内で育てられる竹のことを指します。日本には多くの種類の竹が自生しており、様々な用途で利用されています。
- 手つむぎ糸とは、機械でなく手作業で紡がれた糸のことです。手でつむぐことで、より自然な風合いや質感を持つ糸が生まれ、伝統的な織物作りに愛用されています。
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