京都大学医学部付属病院では、パーキンソン病の新しい治療法として、ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った神経細胞を7人の患者に移植する臨床試験を行い、その結果、安全で有効であることが確認されました
これは、パーキンソン病という難病治療において、京都発の重要な一歩です
治験の成果を受け、今後、保険診療としての利用を目指し、医薬品の承認を申請する予定です
実用化に向けた新たな一歩
さて、パーキンソン病とは、脳内のドーパミンという神経伝達物質を出す神経細胞が減少することで、手足の震えや動作がスムーズにできなくなる病気です
日本では約25万8千人の患者さんがいるとされています
現在は薬物療法が中心ですが、薬を飲む効果が持続しないことが課題です
この治験では、2018年から2021年にかけて、50~69歳の男女7人に対して、頭の骨に開けた穴からiPS細胞由来の神経細胞を移植しました
治験の結果、6人の患者で脳画像から移植細胞がドーパミンを分泌していることが確認され、4~5人では運動機能の改善が見られ、特に症状が重くない若い患者では効果が高いことが示されました
安全性についても、移植した細胞の異常やがん化、免疫反応がなかったことが確認され、治験後2年経っても安定した結果が出ています
これから、神経細胞を製造した住友ファーマは、厚生労働省に製造販売承認を申請する予定で、さらに実用化が進むことが期待されます
京都から世界に発信するパーキンソン病の新しい治療法
この成果は、私たちの暮らしにも変化をもたらすかもしれません
iPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、体のどんな細胞にでもなれる能力を持つ細胞です。2006年に京都大学の山中伸弥博士が発見しました。これにより、健康な細胞から病気を治療する新しい道が開けました。現在では、再生医療や薬の研究など、様々な分野で活用が期待されています。
- パーキンソン病とは、脳の特定の神経細胞が減少し、動作が鈍くなったり、震えが生じる病気です。主に中高年に多く見られますが、原因はまだ完全には解明されていません。
- ヒトiPS細胞とは、成人の細胞を再プログラムして、どんな細胞にも変化する能力を持たせた細胞です。再生医療や病気の研究に活用され、非常に注目されています。
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