
宇治川の左岸に広がるヨシ原
この風景は、京都市伏見区ならではの自然の宝庫です
今日は、そんなヨシ原での作業を行う山田雅史さん(56)についてお話ししたいと思います
彼は、山城萱葺(かやぶき)を営むかやぶき職人です
重要文化財の古民家や寺の屋根に使用するかやを提供する会社ですが、もう一つの仕事として、ヨシを刈り取る「ヨシ屋」としても活動しています
山田さんは、代々続くヨシ屋の長男として育ちました
幼い頃から遊んでいたヨシ原や、母親がよしずを編んでいる姿を見ながら成長した彼は、20歳でプロボクサーとしてデビューしましたが、弟の急逝をきっかけに家業を継ぐ決意を固めました
しかし、ヨシ屋の業界は厳しい状況にあり、安価な中国製のよしずの影響で市場は縮小し、かやぶき職人も減少していました
「ヨシが活用される道を探らねば」と考えた山田さんは、家業を手伝いながらかやぶき職人としての道を歩き始めました
その結果、最近では彼の会社に興味を持つ若者が集まり、法人化するに至りました
ヨシは一年で3〜4メートルも成長します
冬に刈り取る行為は、実は新芽を育てるために欠かせないのです
放置すると、立ち枯れてしまい、つる草が繁茂するやぶに変わってしまいます
最近、文化庁が宇治川のヨシ原を「ふるさと文化財の森」に認定したことも話題になりました
ヨシは成長する際に二酸化炭素を吸収し、屋根材として使用された後は肥料として再利用されます
さらに、私たちの地域では、西日本有数のツバメのねぐらとしても知られています
生態系を保護するためにも、ヨシが重要な役割を果たしています
ただし、現行の建築基準法では新築住宅の屋根をかやでふくことは難しいという現実もあります
そんな中でも過去の歴史を生かした取り組みが始まり、大阪・関西万博のパビリオン「EARTH MART」には、山城萱葺のヨシが屋根に使われました
山田さんは「かやぶき文化を残すことは世の中のためになる」と思いを語り、次世代に向けてかやぶきとヨシの文化を広めることを目指しています
ヨシとは、一年で3〜4メートルに成長する草の一種です。主に湿地に生え、屋根材や障子の材料としても利用されています。宇治川のヨシ原は、地域の生態系を守る重要な役割を果たしており、特にツバメのねぐらとして知られています。この自然の恩恵を大切にしながら、私たちはヨシの文化を新しい世代に伝えていく必要があります。
- ヨシとは、水辺などに生える多年草で、屋根材や編み物などに利用される。特に宇治川のヨシ原は生態系を守る重要な場所とされ、地域文化と深く結びついている。
- かやぶきとは、ヨシの茎を使って作る伝統的な屋根。耐久性が高く、温かみのある見た目が魅力的で、重要文化財としても認められている。
- 文化財とは、文化的、歴史的価値を持つ物や場所のこと。日本では、古い寺や神社などが文化財として大切にされ、保存活動が行われている。
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