
約57万人の組合員がいる「京都生活協同組合」(京都市南区)
昨年、ついに彼らは設立60周年を迎えました
1964年、東海道新幹線が開業し、高度経済成長の最中という時代
当時、京都市の一部地域を対象に数台の自転車で宅配を始めたのが、今の京都生協のスタートです
現在では、京都府全域でトラック644台が忙しそうに走り、店舗も18カ所を数え、その活動範囲は広がるばかり
京の地で根を下ろすまでの歩みとは、どんなものだったのでしょうか?
創立から今日までの道のり
1964年11月27日、京都市左京区の葵小講堂で京都生協の前身、京都洛北生活協同組合の創立総会が開催されました
アジア初の東京五輪から1カ月後
当時、経済成長に拍車がかかる中、庶民生活は物価高騰の波に悩まされていました
実は、戦後京都では大学や職域などで200近い生協が設立されていましたが、そのうち町内会生協はほとんどが消滅していました
そこで、京都洛北生協は消費者ら約1千人が組合員となり、「頼もしい隣人たらん」と再び立ち上がりました
左京区での活動開始
当初、事業エリアは左京区と北区
この理由は、創立に中心的に動いた大学生協職員らが多く住んでいたためです
68年には、第1号店舗が左京区下鴨にオープンしました(現・コープ下鴨)
京都洛北生協は、同志社大キャンパスの片隅にあった10坪あまりの古い建物を借りて、事務所と倉庫としてスタートしました
74年には、「京都生協」に名称変更し、78年には洛南生協、2000年にはあみの生協と組織合同を果たしました
宅配の革新
当初の宅配方式は「ご用聞き」と呼ばれるものでした
他の先進生協を参考に、自転車で見本商品を積み、午前中に組合員宅を一軒ずつ回って注文を聞き、夕方から大量の商品を配達する手法でした
しかし、職員は約100軒の宅を週3回訪問するため、配達数量に限界があり、職員の負担も非常に大きかったのです
そこで、主流になったのが「共同購入方式」です
近隣の組合員で班を作り、まとめて配達を受けます
この方式へと切り替えが進んだきっかけは、京都生協が1970年に開発した牛乳でした
市販品の多くが加工乳だった当時、鳥取県の大山乳業農業協同組合とタッグを組んで生まれたこの牛乳は、特に人気を集め、牛乳の共同購入班が急増しました
この成功を受け、他の食料品や日用品も含めた共同購入の利用が次第に広がっていったのです
「ご用聞き」とは、お店の人が直接顧客の家を訪ねて注文を取る方式のことです。その名の通り、昔ながらの商売スタイルで、近所の人々と顔を合わせてやり取りする温もりがあります。しかし、当時は多くの配達先を持つ職員には負担が大きく、効率的とは言えませんでした。そこで、京都生協が採用した「共同購入方式」が登場します。これは、近所の人たちが力を合わせてまとめて注文する仕組みで、各家庭がバラバラに買い物をするよりも随分と効率的でした。京都生協はこの方式を利用して、地域の結束を強め、多くの人々に喜ばれるサービスをこれからも提供し続けています。
- 生協とは、生活共同組合の略で、消費者が自らのニーズを満たすために協力し合って利用できる組織のことです。一般的なスーパーなどとは違い、組合員が自分たちで運営します。
- 宅配とは、商品を注文した際に、自宅など指定した場所に直接届けてもらうサービスのことです。忙しい人々にとって、買い物の手間が省ける便利な方法です。
- 共同購入とは、複数の人がまとめて商品を注文することで、個別に買うよりも安く手に入れられる仕組みのことです。地域コミュニティが協力し合い、よりお得に賢く生きる方法でもあります。
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