京都市内では、介護の現場で外国にルーツを持つ高齢者への対応が大きな課題となっています
市民団体の調査によると、認知機能の低下により母国語でのコミュニケーションが必要になるケースが多く、要介護者と支援者との間に大きなコミュニケーションの壁があることが明らかになっています
これに対し、団体は「介護する側が異文化を理解することが必要だ」と訴えています
この調査は、京都外国人高齢者・障がい者生活支援ネットワーク『モア』が行い、市内の介護事業所などにアンケートを実施しました
164の事業所のうち、51の事業所が外国人高齢者の生活に関する相談を受けたことがあると答え、その中で31事業所が多様な文化的事情を背景に「対応が難しい」と感じたと回答しました
外国人高齢者とのコミュニケーションの課題
具体的には、外国人高齢者が認知症になると日本語を忘れ、母国語に戻る「母語返り」という現象が見られます
これによって、母語を話せる介護施設が見つからない、または日本の文化や慣習を理解するのが難しいという問題が生じています
福祉制度についての説明が難しい
加えて、介護保険や福祉用具などの制度を英語で説明することが非常に難しいということも挙げられています
また、家族が海外にいる場合、緊急時の判断をするのにも苦労することが多いのです
交流会の実施
3月には、これらの問題についての交流会が市内で開催され、福祉の専門家からは「外国ルーツの方に情報を届ける仕組みが必要だ」といった意見が出されました
モアの南珣賢(ナンスンヒョン)さんは「支援が届かずに困っている人はまだまだいるはずだ」と強調しています
多文化福祉委員の活動
『モア』は、2006年から海外出身の方々のケアに「多文化福祉委員」を派遣しています
彼らは傾聴や公的手続きの補助、または終末期医療の選択に関する支援を行い、これまで在日コリアンや中国帰国者が中心でしたが、最近はフィリピン、ネパール、ルーマニア出身の方々も対象となっています
同委員の村木美都子さんは「地域にいる外国人は増えていく
相手を深く知ろうとする姿勢から信頼関係が生まれる」と話しており、互いに理解し合うことの重要性を強調しています
母語返りとは、認知症などによって日本語を忘れ、母国語に戻る現象です。特に外国人高齢者の場合、日本の介護現場でこの問題が深刻です。これは、彼らが自国の言葉でのコミュニケーションを必要とするためであり、介護者側も対応が難しくなります。多文化福祉委員は、この問題に取り組むため結成され、様々な文化に精通した福祉の専門家が海外出身者を支援しています。彼らの活動により、異文化間の理解が深まり、より良い介護が実現することが期待されています。
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